[修正版]草食系彼氏

 二人が教室に戻ったのは、二時間目が終わってからだった。高は何やら不満そうな顔をしていたけれど、私と目が合うと安心したように笑った。今までケンカしてきたとは信じられないくらい、優しい微笑みだった。

 そのせいかその日一日はずっと、私は高のことばかり考えていた。紗理奈ちゃんとの関係については本人から聞き出そうと思っていたけれど、やはり聞きづらい。

 そうこうしている内に、いつの間にか放課後になっていた。

 いつものように教室で友達と話をしていても、つい、ため息が出てしまう。
 部活に行きたくない。でも、行かなくては。他に行く当てもないし、逃げたと思われるのも嫌だ。

「起立」
 隣から聞こえてくる号令を聞きながら、だるそうにスクールバッグに手をかけた、そのときだった。

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