[修正版]草食系彼氏
「お前、俺と付き合え。俺がお前を守るから」
え?高が何を言っているのか、一瞬わからなかった。
「俺とお前が付き合ってることにしとけ。紗理奈の目的は、来季だろ?落ち着いてから、また来季と……仲良くすればいい」
「で、でも……!」
それがどういうことなのか、私にもわかった。それはすなわち、来季と……。
「別れろ、ってこと?」
高は黙って頷いた。
「大丈夫だって。全部終わったら、また……だろ?」
私は俯いて、来季のことを思った。そうだ、来季だって迷惑に違いない。大丈夫、一時的に付き合うだけで、別に好きとかではないのだから。嫌がらせが終わるまでの、ほんの少しの間だけだ。
いろいろ考えた末、様々な言い訳を並び立てた末に、私は決心した。正直言うとそろそろ限界を感じていたこともあるだろう。顔を上げて、高をまっすぐ見た。
「……わかった。付き合うよ」
遠くの笑い声はいつの間にか、どこかへ消えてしまった。