[修正版]草食系彼氏
「紫苑、部活行こ!」
「ちょっと待ってよ真希、今行くからー!」
陽菜に嫌われたあの日から、私は放課後を部活に打ち込むようになった。もう嫌がらせもないし、それに何よりも。
「……ねえ、ひ」
「あっ優奈、職員室付き合ってくれない?」
あからさまに避けている陽菜に、私はただただ悲しくなる。
陽菜がいないとつまらないことに、私は今更気が付いたのだ。
陽菜はあれからほとんど口を聞いてくれない。話すとしてもプリントを渡すときだけで、それも「はい」だけだった。もう周りにも部活にも敵はいないはずなのに、私の心にはぽっかりと穴が空いていた。
「ありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
部活のミーティングを終えた私は、急いで玄関を出た。
「あっ紫苑、これからみんなでマックとか……」
「ごめんっ、また今度誘って!」
早口に言うと、ばいばい、と手を振った。
しかし家に帰っても用事なんて特にない。ただ、来季にも紗理奈ちゃんにも、会いたくなかったからだ。