[修正版]草食系彼氏
書き終わってから、少し悩んだ。これは直接渡すべきなのかどうか。考えた末に直接渡すのが一番良いと判断した私は、意を決して席を立った。
陽菜は探さずともすぐに見つけられた。いつもは誰かと立ち話をしているのに、今日に限って読書していたから。普段はほとんど読まないくせに。国語も苦手なくせに。
それでも、そのおかげで迷いは完全に消えた。私はまっすぐ、陽菜の机に向かう。
「陽菜、これ……」
絞り出すような声を出して、手紙を差し出す。
陽菜は本を開いたまま机に置いて、手紙を受け取った。そしてすぐに読み始める。
「……」
私は何も言わずにうつむいていた。廊下も教室もいつもどおり賑わっているのに、とても静かだ、と思った。