[修正版]草食系彼氏

好きでごめんね

　実はまだ、肝心なことが残っていた。陽奈のことで忘れていたのか、自分から避けていたのかもしれない。きっと後者だろう。あれ以来ずっと、避け続けてきたのだから。

　私は来季にまだ、何一つ言っていないのだ。

　「別れる」とも言っていないままで、本当は言いたいわけがなかった。それでも、言わなくてはならない。きっと迷惑がかかるから。

　それにもし、このことが周りに知れたら……来季は、私を嫌いになってしまう。
　せっかく、名前を呼んでくれたのに。好きな人だと、認めてくれたのに。それだけは絶対に嫌だった。

　私は何度も自分を説得し、言う決心をしてから、手紙を書いた。直接でもいいのだけれど、誰かに見られたら困る。相も変わらずネガティブ思考な自分に少し呆れつつも、あっさりと手紙を書き終えた。

「今日の放課後、部活行く前に準備室にきて」