[修正版]草食系彼氏

 教室の入り口に立っているからか、周りの視線が集まってくるのがわかった。

 私は急に、嫌だ、見られたくない、と思った。

「……高、私少し用があるから……先に帰ってていいよ」

 私は掴まれた腕を振り払い、廊下を早足で歩いた。心臓が異常なくらいドクドクと動いている。血を送りすぎなのではと心配になるほど、速く。

 まさか、私は高にまで愛想をつかされたのだろうか?いや、元々我慢して優しくしていたのかもしれない。私が甘えすぎたから?帰る約束を忘れていたから?

 何かしたっけ?と必死に思い出そうとするが、思い当たるのはくだらないことばかりだった。

 それにしても、私はどうして、見られたくないだなんて思ったのだろう。私達が付き合ってることは、みんな知っているはずなのに。高が知らせて、くれたのに。

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