[修正版]草食系彼氏
「わふっ!」
「おっと」
考えながら歩いていたら、誰かにぶつかった。
「ご、ごめんなさいっ」
謝りながら、今日はよくぶつかる日だなあ、と思った。ちょうど理科準備室の前だった。そして顔を上げたとき、ぶつかった相手が誰なのか、ようやく気が付いた。
「ら、来季……」
「……ん?あっ来た」
来ないかと思って帰るところだった、と言う来季の様子からは、責めるような感じも避けるような感じもなく、ただ、いつもどおりだった。
そんな来季に少し安心しつつ、不安は消せなかった。
「あのね、来季……」
「高、お前もうち来こいよ!ゲームやんね?」
後ろから男子の声がして、思わず肩が跳ねた。私は来季の腕を引き、小声で中に入るように言った。