[修正版]草食系彼氏

「……あと、手繋いだり!」
「て、手?」

 思わず赤面した私を見て、陽菜が吹き出した。眉を下げて、笑い続けている。

「そっかそっか、紫苑ちゃんにはまだまだ早いでちゅねーっ!」
「なっ何それ!ひどーい!」

 私がポカポカと陽菜の頭やら腕やらを叩いていると、それを抑えながら言った。

「……来季が草食系だから、紫苑もそうなったのかなって思って。でも、なわけないよね。高と普通に話してるし、デートの約束までしちゃったし」

 私は手を止めて、陽菜を見た。陽菜はただ、笑っていた。二人の間を割くように、チャイムが鳴る。

「あっ五時間目始まっちゃう。じゃあね」

 チャイムの中、陽菜は私を置いて自席に戻っていった。一人になった私は、目を伏せて何かを考え始めた。

 今日は金曜日。デートは明後日だ。

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