[修正版]草食系彼氏
初めて
「一緒にいたい」
待ち合わせた時間から三十分前、私は溶けかけた雪が散らかる公園で、高を待っていた。手鏡で髪型を確認して、服の乱れを直す。今日はいつものショートパンツに黒タイツでなく、女の子らしいワンピースにしてみた。足はニーハイソックスで、素肌が少し冷たい。
しかしそれが気にならないほど、顔が熱かった。それはしもやけだとか、そんなことではなくて。
何せ、どんな理由があろうとも、これが私の初デートなのだから。相手が誰だろうと、緊張くらいするだろう。
私は両手に白い息を吐いて、道を歩いて行く人達を見送った。
「うわっ紫苑?」
待ちくたびれた頃、ようやく背後から素っ頓狂な声が聞こえた。日はもう真上に近かった。
「おっそーい!」
「わりい。……お前ワンピースとか着るの?」
「何よ、悪い?」
高が私をまじまじと見ていることに少しだけドキドキして、それがバレないように強く言った。もしかして変かな、という不安を隠すためでもあった。
一応確認すると、高はチェックのシャツにボア付きのコートを羽織っていて、普通に似合っていた。