泣き顔にキス
何気なく。
何気なく、あたしは言ったつもりだった。
「アスカさん、寝るの?」
「へ?」
ちょっと間抜けな声を出しつつ、彼を見た。
ソファーに座る彼もまた、あたしを見ている。
しばらくの後、立ち上がった彼は同時に何かを口に運んだ。
「…何、食べたの?」
「ミルクチョコ」
彼があたしの後ろにまわる。
「自分で持ってるのに、人の貰おうとしてたんだ」
「だって俺の大好物だもん」
彼の手があたしの腰に触れる。
ほんの少しだけ、くすぐったい。
「ねぇアスカさん」
吐息がかかってゾクリとした。