泣き顔にキス
◆優しさとぬくもり
「…何、それ」
彼に問う。
別れ話の後のこのグダグダ感が、何だかすごく滑稽に思えてきた。
“信用する”ってさ、そもそもどういうことなんだろうね。
1人を信じて裏切られたら悲しすぎるから、初めから裏切られても傷つかない距離で付き合う。
それでいいじゃん。
あたしはそう思ってた。
「…笑っちゃうよ、レンくん」
信用なんて、するだけ無駄なんだから。
って、だったら彼の言葉は間違ってはなかったということになる。
「アスカさん…笑えてないよ。泣いてる」
彼が切なげな瞳であたしを見た。