泣き顔にキス
「レンくん…?」
「騙すようなことをしてすみません…」
そこまで言って彼は少し間をあけた。
「最低なことしたと思ってます。でも、さっき言ったことは本当です」
「さっきって…」
「俺は、アスカさんが好きです」
2回目の『好き』。
思えば、1週間前の告白のときにはなかった言葉だ。
「好きだから、アスカさんのそばにいたいって言ったら…」
「あたしは、」
彼の言葉を遮る。
「人を好きになるのが…怖い…」
彼の服をギュッと握った。
そう、あたしは恐れているんだ。
他人と深く繋がりを持つことを。
だって、あたしを置いてどこかに行った母親のように、彼だって、いつかあたしを置いて遠くへ行っちゃうんでしょう?