泣き顔にキス
今日は少人数クラス用の小さな教室で時間をつぶす。
イスを贅沢に5つも使って横になっていた彼は、他愛のない話の途中で言った。
「アスカさん、チョコレートください」
いつも彼はあたしがチョコレートを持ってる前提で言ってくる。
いや、実際に持ってるんだけど。
ここでちょっとした問題が毎回起こる。
「…ブラック食べれないよね、レンくん」
「はい」
「じゃあ無理。持っててもあげれない」
あたしは鞄から出しかけたチョコレートを再びしまった。