泣き顔にキス


一瞬思考回路停止。

さて、それは何を意味するのか。



「…本当に?」

「アスカさんがいいなら」



彼はニコニコと笑顔を崩さない。


きっと、きっとそういう雰囲気になるのは目に見えてる――普通に考えたら付き合ってるんだし、想定の範囲内でもあるけれど。

しかも、それは今日に限ったことでもなくて。


彼はやっぱりいつだって、そういうことを考えているのかな。



「…いいよ」



頭の中をぐるぐると回転させて、数秒のうちにたくさんの考えをめぐらせた。


だけど、結局あたしはいつも色んな感情を隠して彼に返事をするんだ。


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