月と夕焼け


まだ外は薄暗い。

20人いる黒のワンピースに白い地味なエプロンをつけたメイドが朝の朝礼を兼ねて打ち合わせをしている。


「おはようございます」

「「おはようございます」」

「今日は葉子様がお帰りになられます。失礼のないように」

「「はい」」

「遥佳様が朝は起こさなくても良いそうなので学校の準備だけをしてください」

「「はい」」


葉子様というのは、旦那様の愛人。
プライドの高い美人で、でもとても優しい方だ。

奥様のお名前は、香織様。
とても優しくて、器量もよくメイドにまで声をかけてくれる。


「庭係!!」

「はい」

「今日は庭師が来られないそうよ。一人でお願いね」

「分かりました」


私は西城家につとめて間もない、庭係のメイド。

朝から晩まで庭を掃き続ける。


「遥佳様、いってらっしゃいませ」


ちょっとしてから屋敷に響いた声に私も急いで通路に向かう。
通路には私しかいない。
< 2 / 72 >

この作品をシェア

pagetop