月と夕焼け
「本当にそう思う?なんかさ、好き好き~って最初に言いすぎて、最近好きが嘘に感じる」


倦怠期なのかな?
と、アスミが笑う。
私は横目で何回もアスミを見ながら答えた。


「でも、アスミ今までで一番幸せそうだよ」

「…幸せ、だよ」

「本当に?」


自分で聞いといてなんだけど、幸せなんていうアスミからはそれが感じられなかった。


「幸せ。本当に思ってるよ」


この時のアスミがやけに大人に感じて、恥ずかしくなってしまい深くまで追求できなかった。







アスミはこのくらいの時期に良く言っていた。

「男にフラれるのは、良い女じゃない証だから」

まだ、高校生のガキが何を知っているんだ。

今になってそう思うけど、あの頃は私もそうだと思っていた。

そして、今になってもアスミのその恋愛観は変わってはいない。

アスミは本当に、良い女だと思う。


そして、私はそれを聞くだけのただのガキだった。
多分、今もそれは変わってないと思う。









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