月と夕焼け
「好きだ。美乃梨…ごめんな?大好きなんだよ」

「純くん…」


美乃梨はまた涙を流す。

俺はそっと部屋を出た。
なんとなく2人きりにさせないといけない気がしていた。



「遥佳様?」

「佳奈…お茶は良いよ。散歩しないか?」

「え?でも…」

「中の2人は、そっとしといて欲しいんだ」

「分かりました」


俺は佳奈と庭に出て、散歩をした。

ただ歩くだけの行為で、それを散歩と呼んで良いのかは分らないけど、佳奈はとても楽しそうに俺と話した。


「へぇ、妹いるのか」

「はい。でも、父がいないので私が働かないと…」

「お母さんは?」

「体が弱くて入院中なんです。そのお金もいるから、時給が高いバイトを探して…」


いきなり佳奈が黙る。
ちょっと泣きそうな顔をしているのが分かったから、声をかけた。


「佳奈?」

「私…雇われてる立場なのになんで遥佳様と対等に話なんて…。ごめんなさい」

「え、いきなりなんで?そのままで良いよ」


その言葉に嘘はなかった。
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