月と夕焼け
「んでも、どうするかだよな」
「…親父?」
「あれだけ美乃梨を拒否ってるんだ。今さら、わがままが通るか…」
「通らなくても、もう逃げないよ。美乃梨と幸せになりたいから」
「それにわがままじゃないわ。素直になっただけだもの」
フフンと美乃梨が笑う。
可愛くて笑えてきたけど、あえて何も言わなかった。
「佳奈?」
「え!?」
「なんでソファの端で固まってんの」
「いや、あの…私はっ」
佳奈ちゃんが必死で可愛い。
美乃梨とはまた別の可愛さだな。
今までに彼氏とかいたのかな、なんて疑問を抱いてしまった。
「遥佳くん、佳奈ちゃんに意地悪しないでよ。佳奈ちゃんだって慣れようって必死なんだから」
「そうだぞ。本当にお前は…」
「俺の話しじゃなく、今はお前らのこれからの事だろ?」
西城のため息がこれから俺がしようとしている事の重大さを物語る。
「まずは美乃梨のうちだな。美乃梨のパパさんはまだ話せば分かってくれる人だから」