月と夕焼け
予感は当たって、今まで3人でしていた仕事を1人でしないといけなくなってしまった。



「遥佳様!?」

「あ、ごめん。手伝おうと思って…」

「大丈夫です。私がやります」


遥佳様は、ちょこちょこと手伝ったりしてくれるようになっていた。

ただ不馴れなのか、一日でグラスを3つも割った。


「あ、大丈夫ですか?」

「うん」


しきりに指を気にしていると思ったら、血が出ていた。

ポッケから絆創膏を出して、遥佳様にはる。


「キレイな指なのに…。ダメですよ?」

「手伝おうと思って…、邪魔になってるな」

「遥佳様は、遥佳様がしないといけないことをしてください。これは私の仕事です」

「…無理してる?」


いきなりの遥佳様の質問に、何も考えずに本音を言ってしまった。


「私は、遥佳様とずっと一緒にいれてとても嬉しいです」

「え?」

「あ、いや…憧れだったんです。庭係の頃、遥佳様と話しがしたいって。願いだったんです」


言い訳も、遥佳様が大好きだって言っているように聞こえるかもしれない。
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