月と夕焼け
遥佳
最近、佳奈をかまいたくて仕方がない。
四六時中、一緒にいたい。
まぁ、俺のメイドだから常に一緒にはいるんだけど。
「佳奈」
「はい?」
「紅茶飲みたい」
「え、さっきはコーヒーっておっしゃったですよね?」
「でも紅茶が…」
そして、最近こんなわがままを言っていると聞いていたかのように「あいつ」が現れる。
「西城、何わがまま言ってんだよ。ガキか」
多少、機嫌の悪い純くん。
「今日もイライラしてるな」
理由は美乃梨とのことが上手く行かないから。
でも今は、そんな純をかまっている時間なんてない。
俺は今から、佳奈と出掛けるんだから。
「今から佳奈と出掛けるんだよ。帰るか美乃梨に会いに行けよ」
「じゃ、呑気に茶なんて飲もうとしてんなよ」
「あ、純さんもお茶飲みますか?」
佳奈は、若干天然だと思う。
俺は出掛けるって言ってるのに、純に紅茶を出そうとする。
「純なんてほっとけば良いんだよ。ほら、佳奈行くぞ」
佳奈の手を無理矢理引いて歩きだす。