月と夕焼け
沢村は俺を、年の離れた弟みたいだと良く言う。


「分かってないだろ」

「大丈夫だって!!」


車はちょうど良く、俺の学校についた。

兄さんが通う高校の附属中学で、いわゆるお金持ちが通う学校だ。


「…行って来ます」

「優!?」


兄さんの呼ぶ声を無視して、俺は車の扉を思いっきり閉める。

逃げるように、学校の敷地に入った。

振り返ると、車はもういなくて落ち着いて歩く。


「西城さん、おはようございます」

「おはよう」

「優人さん、おはようございます」

「おはよう」


俺は何故か生徒会長をやらされていて、この学校の中で一番お金持ちのせいもあるけど一目置かれている。


「優人、機嫌悪いな」

「どこがだよ」

「雰囲気」


笑いながら喋っている。
こいつは俺のツレで、いつもつるんでいる。


「あ、今日うちのホテルに泊まるんだ。一緒に来るか?」

「あ、ごめん。今日、総理とかたくさんお客様が来るんだ」


親友の誠。
家が政治家家系で、小さな頃から遊び相手が総理大臣だったりとこいつも中々のお金持ちだ。
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