【密フェチ】長い器用な指
※※※
「手のひらサイズが、いいんだよな」

 乱暴に、傍若無人に、乳房を握りこむ大きい手。そのくせ長い指は丹念に快感を紡ぎだす。

「いやあ、そんな」
「君の甘ったるい『いやあ』は、全然嫌じゃない証拠。昔と一緒だ」
 
 憎らしい、でも、いとしい男は意地悪な笑みを浮かべて、そんな風に言う。

「でも、感度は昔より良いな」

 私にとっては初めての男。些細な誤解がもとで大喧嘩をして別れてから五年、その間何人の女を抱いたのか知りたい。でも聞けない。

「この五年、何人の男を食った?」
「ひどいわ、その言い方」

 誰か別の男と寝ることも考えないでは無かったけれど……決心がつかなかったのはなぜだろう?

「じゃあ、食わせたのか。だって、これだけ美味そうなんだからな」
「いわゆるセカンド・バージン」
「まさか?」
「それが、本当にそうなの。腹立たしいことに」
「確かに、顔は怒ってる。でも、こっちは……僕を大歓迎みたいだ」

 この五年、自分の指でもめったに触れたことのなかった部分で、男の指が蠢く。自分の意志とは無関係に、思わず口が開いて、濡れた声が出てしまう。

 抱き寄せられて、熱い舌が「ぬめり」と入り込んできた。
 脳の中まで沸騰しそう。

「可愛くてエロい顔してる。もう怒ってない?」

 何も考えられないような状態にしておいて「怒ってない?」もないものだ。

「返事が無いから、こっちの都合のいいように解釈させてもらうよ」

 男はそう宣言すると、私の両方の足首をつかみ、思い切り広げさせる。

「良い眺めだ」

 そんなはずもないのに、男はそんな恥ずかしいことを言う。悔しいけれど、その言葉でまた、私の「そこ」が恥ずかしい音を立てて、蜜があふれてきた。

「見られると、感じちゃうのか」
「ま、まさか……」
「でも、ここはまるで洪水だよ。ほら、また、あふれてきた」
「じ、実況中継、しないで」

 男は噴き出した。

「実況中継か。だけど放送禁止用語だらけの実況になっちゃうな」

 また太い長い指が器用に蠢く。大きな濡れた音が響く。
 何てイヤラシイ、何て恥ずかしい……
 一番感じやすい突起を熱い舌が捉え、私は思わず男の頭を手で抱え込んでしまう。口から意味不明の、淫らな声が吹き零れ続ける。

「ほら、そろそろ行くぞ」
 
 強烈な重量感。強靭な腰のグラインドをがっしりした腕が支える。忘れていた感覚にしばし呆然とする。
 そんな私を見詰める男に、キスをねだる。
 その時背中を優しくさするのは、器用な男の長い指……



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