御曹司の秘書さんの日常◆
ふと、人が途切れた瞬間、
武は、昴の腕を引いた。
「失礼ながら、昴様。
樹社長もいらっしゃいましたので
少しテラスなどで休憩されてはいかがでしょうか?」
長時間の来客の相手で
疲れているだろう。
武は昴を気遣った。
「あ?あぁ…」
昴が入り口付近に目をやると
ようやく来た兄が目に入る。
会長である父が、遅いぞといって近寄るのが見えた。
二人の周りには、
先ほどのお世辞合戦をしようと
周りにささっっと
人が集まっていた。
「私が、社長に言付けておきますので
ご休憩ください。」
「---わかった。失礼する。」
昴はくるりとテラスのほうへ向かった。
その後姿を軽く頭を下げながら見送った武は、
かつての上司、
樹の元へと向かった。