御曹司の秘書さんの日常◆
児島さんはすたすたとテラスに向かって歩く。
というより、もはや競歩だ。
武も、あわててテラスへとむかう
赤い絨毯の上を軽く走る。
「昴君!!」
カチャンと、軽い音がして
テラスへとつながる両開きのガラス窓があく。
「げ。児島さん。」
後から、ついてきた武はこの目の前の光景に
目を疑った。
「昴様…何やってるんですか・・・」
昴は、ネクタイを緩め
左手は彼女の白い背中に回し、
右手はちょうど彼女の太ももにかかってスカートをめくりあげそうだった。
「いいこと。」
くすっと笑うと、
いきなりあらわれた男二人にびっくりした彼女のほほに
ちゅっとキスをした。
そして、彼女に向けて
にっこりと極上の笑顔を振りまく。
「ごめんねぇ~。邪魔が来たから、
これでおしまい。」
「え?あ・・・・はい・・・っ」
どこかの令嬢だろうか、サーモンピンクのドレスがよく似合う。
顔を赤くして、
児島と、武のそばをさっと小走りで過ぎ去っていく。