御曹司の秘書さんの日常◆
武は、
白いシャツにブルーのネクタイを絞めて
スーツのジャケットを羽織る。
いつものように、
髪の毛を後ろに流して、
玄関に投げ捨てられている
伊達メガネをつける。
「ナミ、準備できた?」
「えぇ。」
ジーンズにTシャツというラフな姿のナミの腰に手を回し、
部屋を後にする。
ナミの家は
会社に行く道を少しそれたところにある。
「ありがとう」
ひらりと車を降りたナミは振り返りもせず、
すたすたと歩く。
この瞬間が
やはり、寂しいんだよな。
ナミを、ナミの家の近くのコンビニでおろしたあと、
武は、タバコに火をつけた。
ふーーっと細い煙がフロントガラスにかかる。