御曹司の秘書さんの日常◆
ニオイとカオリ
***
「おはようございます。花京院常務」
「おっはよ。
その呼び方は好きじゃないよ。武。」
「…失礼いたしました。昴様。」
武は、朝は上司である昴より早く出勤し、
同じ秘書課の新人が机やコーヒーを用意している間に
パソコンの電源や、書類をそろえ
昴の出勤を待っていた。
「あー。君、秘書課の?」
「あ。はいっ。佐々木と申します。
今は、役員秘書のサポートを…」
「かわいーね。
いくつ?」
「…昴様。
社内でナンパはやめてください。
佐々木、コーヒー置いたら下がって。」
「はいっ。
失礼いたしました。」
佐々木はあわてて頭を下げ
退室する。
あーぁ。
せっかく口説こうとしたのにぃ。
なんて言いながら昴は、椅子に腰掛ける。
「…昴様は、年上好みですか?」
「うーん。
社内には年上しかいないから、必然。だねぇ」
「…はぁ。」
ため息しか出ない。
確かに、昴は18歳という若さで常務という役職についてるし、
外見も整った顔立ちに、落ち着いた所作、
すらっとした外見。
スーツを着こなす姿は25前後、ぐらいには見えるだろう。