御曹司の秘書さんの日常◆
「移り香してる。
わざとか?
嫉妬深い彼女だな~~。」
「…香りに敏感ですね。」
香りをつけられたのは
わざとではないと思うが…
確かに朝から多少はいちゃついた。
その時に
香りが移ったのだろう。
しかし、彼女ではないし…
コメントに困る。
武はとりあえず、
深々と頭を下げる。
「…失礼いたしました。
すぐに着替えます。」
「あ。いや、ごめん。
そういうつもりじゃないって。」
昴は、あははと笑った。
「俺は昨日、相手を口説き損ねたのに、
秘書のお前は彼女と楽しくやってるなんて、
ちょっとした嫌味。」
「…嫌味ですか?」
「まーな。子供っぽいっだろ?まだ未成年だし。」
悪びれもなく言い放つと
昴は書類に目を通し始めた。
女性に対する扱いは未成年どころか
手馴れた30代みたいだよ。
なんて思いながら、
武は心の中でため息を吐いた。