御曹司の秘書さんの日常◆
面倒なんですけど?
一つの別れ
***
「--だから、
もう連絡しないでほしいの。」
「わかった。」
武は、まだ熱のこもった体を起こして
するりとベッドから降りる。
椅子に掛けてあったスーツのジャケットから
携帯電話を取り出し、
操作をする。
「メモリーを消去しといたよ。
サヤカも、俺の消しといて。」
「…2年も付き合ったのに、
冷たいわね。」
サヤカは長い黒い髪を書き上げて武を見つめる。
武は脱ぎ捨てられている下着と服を
拾う。
「え?
武さん、帰るの?」
「…サヤカ、俺は連絡しないでって言われた女の隣で寝れるほど
大人じゃないんだ。」
先ほど二人でつながっていたのが嘘だったかの様に
武の言葉は冷たかった。
サヤカは無言で目をそむけた。