御曹司の秘書さんの日常◆

ガチャリと寝室のドアを振り返りもせずに開き、
サヤカはその後ろ姿を見つめていた。

目にたまった涙を落とさないようにするので
精一杯だった。


少し遅れて、
遠くでバタンと玄関のドアが開いて閉じる。


あぁ本当に『終わった』んだな。

サヤカのほほに一筋の涙が流れる。


その涙をぬぐってくれる大きな綺麗な手は
もうそばにはなかった。




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