御曹司の秘書さんの日常◆

「本当は、もう少し早く来たかったんだけど、
 俺の仕事のスピードと効率が悪くてな~。

 やっと、今日、時間が空いたから正樹兄ぃのところ来たんだ。」

「…はぁ」

腑に落ちない顔をしていたんだろう、
武表情に正樹が笑う。


「あれ?俺の見当違い?
 ここ最近、少し沈んでたみたいだから、
 
 女にでもフラれたか、もしくは言い寄られすぎたかーー

 と思ったんだけど?」

昴が楽しそうに笑って、
サンドイッチをほおばった。


武は絶句する。

ご丁寧にそうだとも言う義理もないので、
曖昧にわらって、コーヒーを飲んだ。



「昴ーー。そんなの、聞くなよ。
 市川、ゴメンな。こいつストレートに発言するから。」

「いや、
 びっくりしただけ。昴様は観察眼がすごいなと驚いた。」

「あはは。市川が、昴様っていうのなんか違和感だなーー」

「いや、一応上司だし。」

仕事は仕事だ。
けじめをつけるべきだ。

「ほーんと。俺は全然気にしないのに。律儀だよな。」

昴はあははと笑うが、正樹に軽くたたかれる。

「お前は、砕けすぎ。」

やれやれ。

といって、正樹は武に、『ゴメンな」と手を合わせた。


< 37 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop