御曹司の秘書さんの日常◆
「本当は、もう少し早く来たかったんだけど、
俺の仕事のスピードと効率が悪くてな~。
やっと、今日、時間が空いたから正樹兄ぃのところ来たんだ。」
「…はぁ」
腑に落ちない顔をしていたんだろう、
武表情に正樹が笑う。
「あれ?俺の見当違い?
ここ最近、少し沈んでたみたいだから、
女にでもフラれたか、もしくは言い寄られすぎたかーー
と思ったんだけど?」
昴が楽しそうに笑って、
サンドイッチをほおばった。
武は絶句する。
ご丁寧にそうだとも言う義理もないので、
曖昧にわらって、コーヒーを飲んだ。
「昴ーー。そんなの、聞くなよ。
市川、ゴメンな。こいつストレートに発言するから。」
「いや、
びっくりしただけ。昴様は観察眼がすごいなと驚いた。」
「あはは。市川が、昴様っていうのなんか違和感だなーー」
「いや、一応上司だし。」
仕事は仕事だ。
けじめをつけるべきだ。
「ほーんと。俺は全然気にしないのに。律儀だよな。」
昴はあははと笑うが、正樹に軽くたたかれる。
「お前は、砕けすぎ。」
やれやれ。
といって、正樹は武に、『ゴメンな」と手を合わせた。