御曹司の秘書さんの日常◆
***
3時の会議に合わせて会社に戻ると
すでに会議室の用意はされていて、
佐々木が、昴の到着待ちですと伝えに来る。
「うわ。
まだあと10分あるけど」
昴はそういって、ネクタイを整え、
髪の毛をサラッと払うと、
ふぅッ と息を吐いて、会議室へと消えて行った。
今日の会議は武の同席はいらない。
武は、昴の後ろ姿に軽く会釈をし
常務室へと戻る。
武は、
何も変わらない日常ーーのはずだった。
単なるセフレとの別れのはずだったのに…
軽くへこんでいる自分にもびっくりだったが・・・
それを気が付く昴に
さらに驚いた。
武のポーカーフェイスもなかなかな物だが
ソレをあっさり見破られたということか。
「…まいったな。」
武はつぶやいてから、席に着いた。