御曹司の秘書さんの日常◆
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「武。おはよう。」
「…おはようございます。昴様。」
ガチャリと常務室を開けた
昴は幾分疲れて見えた。
「…いかがなさいましたか?
朝からあまり元気がないように見えますが…」
「いや…うーん。」
昴は脱いだジャケットを武に預けながら、
歯切れの悪い返事をした。
「なぁ。武。
コレ、やるよ。」
「・・・・・・は?」
差し出されたカード。
マンションの…鍵?
デジャヴ。だと武は顔をしかめた。
「…昴様?コレは…」
「俺のマンションのカードキーだけど?」
実は会社と近いんだよね。
一応、最上階だぜ。あそこ。
といって、近くにそびえるマンションを指した。
たしかに、近い。
「…もらう意味がわかりませんが」
「お願いがあるんだっ。」
昴は、振り向いてから、
パチンと両手を合わせた。