御曹司の秘書さんの日常◆

「レイナ?
 俺、お前が用意したのなんて食べないし、
 武が作ったのじゃないと、口にもしないよ。」

「え?それってどういう・・・」

レイナの顔が曇る。
昴は、ふと思いついたように、にやりと笑った。

「ソレに、武は俺専用だから、勝手に使うなよ?
 武に協力してもらおうなんて無理だぜ?」

「なっ・・・」

レイナはみるみる顔が赤くなる。
手も軽く震えて怒りがこみ上げてきたようだ。

「…昴様。あまりきつく言うと一応取引先のお嬢様ですし…」

とりあえず、武はたしなめるように口をはさむ。
しかし、昴はニヤリと笑って武のそばにゆっくりと歩み寄る。

不意に武の手を取って抱き寄せる。


「レイナ。そういうことだから、もう来ないで?」


昴は、武の背中に腕をまわして
ぎゅぅッとする。

そして、
ダメ押しのようににっこりとレイナに微笑んだ。



「--!!!ひどいわっ」

レイナはそのまま振り返ることなく
玄関へと走っていった。


ガッチャンっ


乱暴な音が部屋に響いた。




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