御曹司の秘書さんの日常◆
社長である樹は、昴の兄である。
年の離れた兄のため、昴のことをいつも気にかけているらしい。
といっても、
まだ、30歳で若い。
昴は割とすらっとした美男子という印象だが、
兄である樹は学生時代はスポーツばかりしていたという
わりとがっちりした体格であった。
しかし、二人ともふわりとした明るい髪と
人懐っこい笑顔がよく似ていた。
「昴ー。いくら市川を思っても、法律上結婚はーー」
社長がこんなに取り乱すことはあまりないかもしれないな。
珍しい。
なんて、武は冷静に二人のやり取りを観察する。
「…ぷっ」
あはははは。と昴が急に笑い出す。
「あーごめん。兄貴!
違うよ。俺…武となんて付き合ってないし。」
なぁ。と昴は、武に同意を求める。
武は激しく同意する。
勘違いされたままなんて、仕事もやりにくくてしょうがない。