御曹司の秘書さんの日常◆

社長である樹は、昴の兄である。

年の離れた兄のため、昴のことをいつも気にかけているらしい。
といっても、
まだ、30歳で若い。

昴は割とすらっとした美男子という印象だが、
兄である樹は学生時代はスポーツばかりしていたという
わりとがっちりした体格であった。

しかし、二人ともふわりとした明るい髪と
人懐っこい笑顔がよく似ていた。



「昴ー。いくら市川を思っても、法律上結婚はーー」

社長がこんなに取り乱すことはあまりないかもしれないな。
珍しい。
なんて、武は冷静に二人のやり取りを観察する。




「…ぷっ」

あはははは。と昴が急に笑い出す。

「あーごめん。兄貴!

 違うよ。俺…武となんて付き合ってないし。」

なぁ。と昴は、武に同意を求める。



武は激しく同意する。

勘違いされたままなんて、仕事もやりにくくてしょうがない。

< 67 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop