御曹司の秘書さんの日常◆
というわけで、
珍しく武がアカネを誘ったのだった。
武からガールフレンドたちに、
今夜あいているか?
と聞くことはほとんどない。
一応、お互い割り切ってるとはいえ
あまりこちらから求めすぎると、勘違いされやすい。
武なりに気を使っているらしい。
誰も、俺の特別になんてなれないのに。
むしろ、俺のトクベツなんてなりたくないだろ?
こんな不誠実な男。
武はどこか恋愛に対してさめていた。
一生結婚する気もないし、
子供も作る気はない。
「----だからといって、
あいつに惚れているっていうのはないだろ。」
武はちっと舌打ちをして、
グラスをキッチンの流しに置いた。
一瞬洗おうかと思ったが、
これぐらいなら、大丈夫かな?と思ってそのままにする。
ココはアカネのマンション。いや、アカネの婚約者のマンションだ。
二人の愛の巣に、
連れ込むなんてホント女って怖いな。
他人事のように武は思って寝室へと戻る。
服を着て帰ろう。
すっかり冷めきった素肌に服を羽織った。