御曹司の秘書さんの日常◆

喫茶店でコーヒーを

***

「いらっしゃーーー市川!」

「どうも。」

武は軽く手を上げて、
喫茶店の中に入った。


ココは、昴の伯父にあたる川端 正樹の経営する喫茶店。

昼時だというのに、客は武だけだった。



少し年季の入ったカウンターに
武は腰を掛けて
ゆっくりと店内を見回す。


「人いないんだなー。」

「そりゃね。ランチやってないし。
 っていうか、食事がない。」

と言って、正樹は笑いながら頼んでもいないコーヒーを差し出す。



「来るなら、連絡してくれればサンドイッチぐらい用意するのに。」

「いや・・・」

「で?どうした市川?」

「は?」

突然の質問に武は気の抜けた声がでた。
正樹は、面白そうに笑ってからケーキも出してきた。

この店の唯一のフードメニューだ。


「あはは。---もしかして、昴に振り回されてる?」

「---まぁな。」

武は苦笑するしかなかった。

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