御曹司の秘書さんの日常◆
昴は、すっと立ち上がった。
「だから、武に俺をあきらめさせようと
社長が女を紹介してやるって言ってたんだよ!!
俺は、秘書と言え武に手を出すなーーーって
ありえない説教を延々と一時間聞かされたんだ。
わかったか?」
昴は、ちっ と舌打ちをして、
乱暴にノートパソコンを閉じた。
ーーだから、昴様はこんなに不機嫌なのか。
武は納得したように、
この『お見合い写真』を集め、どさっと
机の横の『不要紙入れ』の中に写真を投げ入れた。
「--!」
「…なにか?昴様?」
「いや…。一応、気に入った子がいたら紹介するけど?」
「…ふっ。私が女に不自由しているとでも?」
武は昴に振り返りもせず、毒づいた。
不愉快極まりない。
元はといえば、昴様がいらない誤解を与えたことから、
こんな社長まで巻き込んでーーー。
「…昴さま?社長の誤解の件はどうなさるおつもりで?」
武はいら立ちを隠せない。
思わず昴をにらみつけた。