御曹司の秘書さんの日常◆
振り返るとそこには、
ナミが立っていた。
何てタイミングだーーー
ちょうど川端と話していたばかりの女性。
今も、体の関係の元カノ。
そんなナミが
武の目の前に立っているーーー。
ナミと言いかけたところを隣の男性に気が付いて
あわててナミさんと訂正したが、
気が付いただろうか?
「武さん。
お久しぶりですね。
こちらは、夫のーーーー」
ナミは武の動揺など気にせず、ありきたりの自己紹介をする。
武もあっさり秘書の仮面を付け直して、
愛想笑いを浮かべる。
「はじめまして、花京院コーポレーションで秘書をしております。
市川 武と申します。」
まさか、ナミの旦那と名刺交換して握手するとは思わなかった。
川端の言うとおり優しそうな旦那様だった。
見たくなかったな。
もう、ナミを抱けないカモな。
「市川。知り合いか?」
「昴様。えぇっと・・・高校の同級生でした。
緑山 ナミさんと、
旦那様の緑山 真人ドクターです。」
よりによって今日業務提携する病院系列のドクターが
ナミの旦那様って・・・
武は心の中でため息をついた。