Apasionado!3~俺様社長様の甘い誘惑~



『暴君ネロ』って



「高藤が社長を変えてくれた」


な、何か凄い人みたいだ。


「あ、これだけは言っとく」


「はい」


「まかり間違っても高藤に手を出すなよ。社長に殺されるぞ」


「……」


「社長の大事な大事な奥さんなんだからな」


「大事な」


「あぁ、ちょっと他の男と話してるだけで怒るから。まぁ、社の連中は大丈夫だけど…お前等新入社員はな」


あの先程の冷たい視線。


お茶どころか飯になんて誘ってたら俺、今頃は死んでたわけか。


「だ、だけど何で高藤さんって?藤倉さんじゃないんですか?」


「あぁ、藤倉だと社長と一緒になるだろ。俺達も藤倉なんて呼び捨てに出来ないしな。その辺をアイツは考えて社では旧姓の高藤を使ってる」


「はぁ」


「お前の一年先輩もな、産休で高藤に会ったのは今回が初めてで…高藤に何か親切にされたみたいでちょっと惚れたらしい」


先輩が?


「係長に社長の奥さんだと聞いてショックを受けたようだな。だけど…高藤 ちゃんと結婚指輪してんだけどな。やっぱりあの顔と結婚って結び付かないのかな、男には」


結婚指輪?


そういや指輪はめてた。


まさか結婚指輪だとは。


「ま、無事に生きてこの会社にいたけりゃ高藤にちょっかいはかけるな。じゃあ仕事に戻るぞ」


「は、はい」



俺の淡い恋も入社一週間で終わりを告げた。


社会人になって初めて社会の厳しさに触れた気がした。



それから暫く社長に会うと冷たい視線が飛んできたのは言うまでもない。





*Fin*




< 45 / 1,863 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop