その手の中に
なにもできない私は
鏡夜をみつめていた。
ただただ
鏡夜を目に焼き付けていた。
私の手が
足が
震えている…。
そしてあることに気がついた。
鏡夜…なにかもってる?
力なく倒れた体。
だけど
その手の中には
たしかになにかが握られていた。
…?
震える手で
そっとソレに手をのばしてみる。
みなければいけない気がした。
そっと手に触れた。
……つめたい。
手に握られているソレを
ゆっくり取ろうとした。
なかなかとれないことから
よほど強く握っていたことがわかる。