卒業 ―ずっと、一緒だよ―
それはペンケースだった。

阿美は、私や莉絵に見せるように、それをかかげた。

「これ…理緒のだよね?」

顔を覗き込まれ、私はうなずいた。

阿美は、うすら笑いを浮かべると、それを――放り投げた。

「!」

私はそれを目で追った。
ペンケースは、薄暗くなった校庭の砂の上に落ちた。

「莉絵。」

その声に、私は、阿美を見た。
そして、阿美を見ている莉絵を。

「取ってきてやりなよ。
理緒がかわいそうでしょ?」
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