卒業 ―ずっと、一緒だよ―

そして…

あたりがすっかり暗くなってから、莉絵は戻ってきた。

莉絵が差し出したお財布は、土で汚れていた。

私がそれを受け取ると、阿美はまた、何かをカバンから取り出した。

そして今度は、私たちに見せることもなく、高く放り投げた。

…砂に落ちる音は、聞こえなかった。

「今の、何だと思う?」

阿美は、そう聞いて、にやっと笑った。

「携帯。理緒の。」
< 30 / 56 >

この作品をシェア

pagetop