卒業 ―ずっと、一緒だよ―
春の校外教授。

…なんて、カタいタイトルだけど、遠足みたいなもの。

自然公園の散策とバーベキュー。

その写真の中に、一枚、私の写ったのがあった。

無理した笑顔の私と…莉絵。

焼けた肉の串を私に見せて、莉絵は笑っていた。

莉絵の笑顔は、作り笑いじゃなくて、心からの笑顔に見えた。

――理緒。

私の名前を呼ぶ、莉絵の声を思い出す。

――ずっと一緒だよ、理緒。

同じ笑顔で、莉絵はそう言ってくれた。
その声が、聞こえてくるみたいだった。
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