卒業 ―ずっと、一緒だよ―
「あ、そうだね! 頭いい」

何人かが携帯を開き、周りの生徒もその画面を覗き込んだ。

私は…携帯じゃなく、教科書を手に取って開いた。
自習しているふりをするために。

でも、読んでも内容は頭に入っていかない。
文字を読む目より、話し声に澄ます耳に、私の意識は奪われていた。
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