運命‐サダメ‐
表情が変わってしまったけど、ここで驚いても平気のはずだ。
また、表情を引き締めて話しをする。
「私は……ご存じだと思いますが、当時留学していたので、姉の婚約者に逢ったことはないです。
名前も顔も知りません」
きっぱり、知らないと言ってやった。
「あたしも、知らない」
「私も分かりません。
千夏ちゃんは、両親以外に話していないはずです」
鈴奈はぶっきらぼうに、おばさんはいつも通りに、私の言葉に同意するように言った。