運命‐サダメ‐



「千紗、ごめんな。これで、終わり、だから……」




その瞬間に、全てが分かった。


彼は、最初から死ぬ覚悟をしていたということに。




「イヤっ。やだよぉ。死なないで……」




私の目からは、涙が溢れていた。


いつぶりの涙だろうか。


彼を困らせるだけだと分かっているのに、止まらなかった。




「千紗、泣かないで」




やっぱり、困らせてしまっている。


だけど、止まらないんだ。




< 169 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop