運命‐サダメ‐
「退院されたら、お越しいただこうと思っていたのです。
体調はいかがですか?」
「もう、すっかり良くなりました」
「それは良かったです」
強くなれた理由、それは生きる意味を見つけた。
イヤ、思い出したから。
私の中に生きている命を、大切にして産んで育てると決めたんだ。
だから、彼の事件を最後まで見届ける覚悟も出来た。
私が目をそむけることは出来ない。
この子の父親は、まぎれもなく彼だから。