運命‐サダメ‐
こんな場所に、何の用があって来たのか。
こうやってカップルだらけの中を2人で歩いていたら、私たちもカップルに見えるのかな。
そんなことを考えていると、何の前触れもなく、彼が手を握って来た。
「ちょっ」
「静かにして。
普通にしてて」
手を離そうとする私に、彼が耳元でそう囁いた。
その行為に、私の熱は一気に上がった。
だけど、普通ってどういうことだろう。
周りと比べて、浮かないようにカップルみたいにしてろってことだろうか。