運命‐サダメ‐
ふいに、耳元で囁かれた。
それについ、反応してしまう。
耳を押さえて彼を見ると、目が合った。
彼は、ふっと笑った。
「やっぱり千紗って、オレのこと見ているよな」
「何ですか?
その言い方……。
偶然気付いただけです」
彼の言葉に恥ずかしくなって、目をそらして言う。
それでも彼は、優しく笑うだけ。
「まぁ、いいや。
それよりあのグループ、何だと思う?」
「分かりません。
隠れるようにしているのは怪しいですけど。
それにあのおじさん、顔は笑っていますが、目が笑っていません」