運命‐サダメ‐
あの場所から、1人で帰ることも出来た。
バスだってあるし、タクシーだって乗り場があるほどの場所。
だけど、なぜか私は彼と一緒にいることを選んだ。
間違っていると思う。
いつか捕まるかもしれないのに、彼といるなんて。
だけど私は、どうしても彼を突き放すことが出来なかった。
最初から最後まで、人殺しの仮面をつけていてくれれば良かった。
なのに、仮面を外した彼は、優しかった。
無理やり共犯にしたくせに、気遣いがあった。
1度も、私を人殺しにはしなかった。